肝臓のしくみ(肝臓の解剖生理)

こんにちは♪
看護探究隊のあやぱんです。
この記事を読みに来てくださりありがとうございます♡


看護のカテゴリーでは、救急医療の現場で働いていた看護師のあやぱんが「体のしくみ」から「病気」について、また「看護現場で役立つ情報」を探究してまとめています。


今回、私が探究してまとめた内容は、肝臓のしくみ(肝臓の解剖生理)についてです。

この記事のメリット
♡肝臓のしくみが理解できる
♡肝臓の異常に早く気づくことができるようになる
♡健康寿命が延び自分のライフスタイルを維持できる。

意外と重要な臓器


皆さん、肝臓についてどんなことを知っていますか?


お酒を飲み過ぎると肝臓が悪くなる。というイメージでしょうか?


私は看護師として働くようになってから、「肝臓は意外と重要な臓器」だと学びました。


重要な臓器といえば、心臓や脳などを思い浮かべるでしょう。
もちろん!心臓や脳も重要な臓器なのですが、
肝臓はいろいろな働きを持ち、私達が生きるために必要なことをおこなってくれているのです。

この記事を見終わった頃に、「肝臓が意外と重要な臓器なんだ。」と共感してくださる人が一人でもいたら嬉しいです。笑

肝臓は上腹部にある最大の臓器


肝臓は暗赤褐色、重さ約1200g。
右葉左葉の2つに分かれます。
右葉は左葉に比べて大きく厚みがあります。


肝臓の下面には4葉に囲まれた肝門があり、門脈固有肝動脈胆管リンパ管神経が出入りしてます。


門脈は、胃、腸、膵臓、脾臓などからの栄養ある静脈血を集めて肝臓に運ぶ血管です。
一方、固有肝動脈は、酸素を多く含んだ動脈血を運ぶ血管です。


門脈は肝臓に入ると毛細血管となり、灌流後、肝静脈を経て下大静脈に入ります。
肝臓の後上方からは数本の肝静脈が出ており、肝門を経ずに下大静脈に注ぎます。

肝臓は体に取り込んだ栄養素をエネルギーに変えたり、成長に必要な物質を組み合わせたり形を変える(栄養の代謝)働きがあります。

肝臓のはたらき

1,物質代謝

①糖質の代謝

・グリコーゲンの生成と処理
(門脈から入った血液中のブドウ糖(グルコース)が多い場合、グリコーゲンにして蓄えます。不足するとグリコーゲンを分解しブドウ糖(グルコース)に変え、エネルギー源にします。)

+α知識
グルコースとグリコーゲンの違い…
まずグルコースというのはブドウ糖と同義語です。血液の中から全身の細胞に取り込まれ、生体のエネルギー源となります。グルコースは糖を構成する基本的な単位(=単糖類)であり、その形のまま体内に貯蓄することができないので、グルコースが何個も連なり枝分かれしたグリコーゲン(=多糖類)という形に変えて筋肉や肝臓に貯蓄されます。

②タンパク質の代謝

・アルブミンの生成とアミノ酸の処理
(アミノ酸を合成・分解しアルブミンフィブリノーゲンなどを作ります。合成過程で出た不要なアミノ酸であるアンモニア尿素へ分解し無毒化した状態で腎臓から排泄させます。)

+α知識
タンパク質はアミノ酸と呼ばれる小さな分子で構成されます。
そして血液中のタンパクのうちで最も多く含まれている成分がアルブミンです。それが肝臓で産生されます。アルブミンは水分を保持し、血液を正常に循環させるための浸透圧を維持します。また、体内の様々な物質と結合し、それを目的地へと運ぶ運搬作用があります。
フィブリノーゲンとは、出血を止める過程で働くタンパク質の一つ。細かく言うと、肝臓の肝細胞で産生される糖蛋白です。糖蛋白とは、アミノ酸に糖がくっついている(共有結合)ものです。80%が血漿中に存在し、20%が組織中に存在します。(血小板にも存在する。)体内での半減期は3〜4日です。

③脂質の代謝

・脂肪酸を分解して、コレステロールを生成します。

+α知識
脂肪酸とは脂質の主要な構成要素です。
脂肪酸が他の物質と結びつくことで脂質を形成しています。
脂肪酸は飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、トランス脂肪酸の4つに分類されます。
コレステロールはアセチル-CoAから作られます。

コレステロール1つを作るには18個のアセチル-CoAと多くの酵素反応が必要です。アセチル-CoAは脂質・糖質・タンパク質が分解される過程で作られます。

④ホルモンの代謝

・肝臓は過剰なホルモンを代謝し、不足しているホルモンの分泌を促し、適正なホルモン濃度を維持できるよう調整しています。

2,胆汁生成

・1日500〜800mlの胆汁を分泌します。
胆汁酸は脂肪を乳化し、消化・吸収しやすい形に変化させる働きを持ちます。

+α知識
胆汁とは、脂肪を消化するために必要な緑色の液体です。
胆汁には胆汁酸、ビリルビン(胆汁色素)、コレステロールなどの成分たちが含まれます。97%は水分です。
乳化とは、混ざり合わない2つの液体の一方を微粒子にして他方に分散させることです。

3,解毒作用

血液中の有害物質を無毒化し、胆汁中に排出します。

4,血液凝固

血を固める(凝固)のを助けるフィブリノーゲンとプロトロンビン、血が固まらないようにするヘパリンを生成します。

+α知識
フィブリノーゲンとプロトロンビンとは…
12種類の凝固因子の一部。
第I因子フィブリノーゲン第II因子プロトロンビンです。
止血には、①血小板による一次止血(血小板血栓)と②血液中の凝固因子と呼ばれるタンパク質(第IV因子を除く)が働き、最終的にフィブリンの網の膜が血小板血栓の全体を覆い固めてする二次止血(フィブリン血栓)があります。第II、VII、IX、X因子は肝臓ビタミンKの働きによって成熟したタンパク質として機能するようになります。→母乳栄養児はビタミンKが不足することがあり、これらの凝固因子が十分に働かなくなるため、止血に時間がかかることがあります。

5,造血・壊血作用

お腹にいる赤ちゃんの時期(胎生期)には血液をつくる(造血)作用を持ち、古い赤血球を破壊しビリルビンを生成します。

+α知識
ビリルビンとは、ヘモグロビンの一部が代謝されてできたものです。
赤血球の中にヘモグロビンが存在します。ヘモグロビンは酸素や二酸化炭素を運ぶ働きがあります。赤血球の寿命は約120日です。寿命が来ると脾臓や肝臓で破壊されます。その時にヘモグロビンも破壊されてビリルビンができます。血清の黄色色素の主成分です。間接型ビリルビンと直接型ビリルビンに分けられます。新生児黄疸は間接型ビリルビンの値が高くなります。

6,血液貯蔵、水代謝、ビタミンの貯蔵

出血時には貯蔵している血液で補血します。
体内のビタミンAの約80%は肝臓の肝星細胞で貯蔵されています。

門脈のはたらき

(胃・腸からの栄養を運ぶ役目)

①胃・腸などからの吸収された栄養物

②門脈

③肝臓:点検後に余ったエネルギーはグリコーゲンとして貯蔵される。

(膵臓からのホルモンを運ぶ役目)

①膵臓からのホルモン(インスリン、グルカゴン)

②門脈

③肝臓:グリコーゲンとして貯蔵される。

※インスリンとグルカゴンは血糖値の低下と上昇に関与するホルモンです。

(脾臓からのを運ぶ役目)

①脾臓において赤血球の破壊により生じたヘモグロビン(ビリルビン)

②門脈

③肝臓:胆汁中へ排泄される。

④胆管を通り便の中へ排泄される。

肝臓が悪くなるとどうなるの?


肝臓は予備力が高いため、肝機能が低下した初期段階では自覚症状は少ないです。


下記のような症状が出現した時はかなり肝機能が低下しています。

倦怠感(体がだるい)
黄疸(皮膚や眼球が黄色い)
出血傾向(血が止まりにくい、内出血痕が増えたなど。)
腹水(お腹が水でたぷたぷしている。↑上の図参照。)
浮腫
アンモニア臭
痩せ
貧血
皮膚が黒く燻んでいる 等…

病気を予防するためにも、年に一回の健康診断で肝機能検査の値は必ずチェックするようにしましょう。


肝機能を示す項目はこちら↓↓です。

AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)  
  基準値:8〜40IU/L
ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ) 
  基準値:5〜45IU/L
ALP(アルカリホスファターゼ) 
  基準値:115〜359IU/L
r-GTP(ガンマー-グルタミルトランスペプチダーゼ) 
            基準値:男性10〜50IU/L 女性9〜32IU/L


いかがでしたでしょうか?

肝臓は様々な働きを持っています。
栄養はただ摂取すればいいだけではありません。
私たちが体を動かしたり、体の臓器や組織が成長・産生されるのは、肝臓の働きのおかげです。
体に必要なものと不要なものを区別してくれるのも、肝臓です。

肝臓の病気は早期発見が難しく、予後が悪くなりやすいので、お酒を飲みすぎてると感じる方は、少し自分の体を労ってあげましょう。

もし読者の方で、解剖生理の学習やレポート作成に苦戦している新人看護師さんなどがいらっしゃいましたら、いつでもご相談下さい。

産後の母子健康・育児相談を承ります 誰かに私の声を聞いて欲しい…はい、看護師の私が聞きます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

終わり♪

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