こんにちは♪
看護探究隊のあやぱんです。
この記事を読みに来てくださりありがとうございます♡
産後ケアのカテゴリーでは、日本で看護師をしていたあやぱんが、シンガポールで産後のお母さんと新生児のケアを行なった経験を元に、「産後の親子の健康」に関する役立つ情報を探究してまとめています。
今回、私が探究してまとめた内容は新生児黄疸についてです。
新生児黄疸について書くきっかけとなったのは、
シンガポールで出産されたお母さんが日本で出産されるお母さんよりも、新生児黄疸に対して悩む機会が多いと感じたからです。
妊婦さんや産後のお母さん(特にシンガポールで暮らしている方)が、新生児黄疸について理解し、少しでも育児の不安を減らすことができたらいいな ♪ と思いながらこの記事を書いております。
♡新生児黄疸の対処法が理解できる。
♡育児の不安が1つ減り、ご両親の笑顔が増える。
目次
新生児黄疸とは?
生まれたばかりの赤ちゃんの肌が黄色い…
授乳の時間になっても最近よく寝ている気がする…
それは、新生児黄疸の可能性があります。
まず新生児とは、生後0〜28日未満の子供のことです
新生児黄疸は、生後2〜7日に現れる黄疸のことです。
生後2〜3日に現れ、生後4〜5日でピークになります。
なぜ?新生児黄疸が出現するかと言いますと…
新生児は赤血球が多く含まれているからです。
赤血球の数が多い分、その赤血球が破壊されるとビリルビンがたくさん作られます。新生児はそのビリルビンの量に対して肝臓で処理をする働きがまだ不十分なため、体内にビリルビンが残り黄疸が出現するのです。
※肝臓とビリルビンついてはこちらの「5,造血・壊血作用」で詳しくまとめてます。
以上の理由から、新生児黄疸は病気ではありません。
通常は数日で自然に消えます。
生後7日以降の黄疸は遅発性黄疸と言われます。
数週間続くこともありますが、これも無害で自然に消えます。
※母乳栄養の赤ちゃんの中には黄疸が1ヶ月以上続くこともあります。
しかし、遅発性黄疸かどうかは、かかりつけの病院で検査を受けて医師に判定してもらう必要があります。
病的な黄疸とは?
新生児黄疸は、生理的なことであるため赤ちゃんに無害です。
しかし、病的な場合もあります。
特に注意する必要があるのが…
①生後24〜48時間以内に現れる黄疸 ②核黄疸 ③胆道閉塞症による黄疸
です。
核黄疸とは、脳にビリルビンが溜まって起こる脳の損傷です。発達の遅れや脳性麻痺、難聴、痙攣などが生じます。
胆道閉塞症とは、胆汁の通り道である胆管が詰まってしまい、胆汁を排泄できなくなってしまう病気です。胆汁にビリルビンが含まれているので、胆汁が排泄できないことにより体内にビリルビンが貯まり黄疸が出現します。ごく稀ですが生後2週間を過ぎても黄疸の症状が強く続く場合この疾患が疑われます。白っぽいウンチが出るのが特徴です。
病院から黄疸を指摘されていなかったが、その後黄疸が出現した場合は…
まずは、かかりつけ病院に連絡をして受診をしましょう。
既に黄疸が出現しており、医師の判断で自宅で様子を見るように指示されている場合は、以下の症状に注意してください。
- いつもより明かに授乳回数が減っている。
- いつもよりおっぱいの吸いつきが悪い。
- 手足の緊張が弱く、反応が薄い。(足の裏をくすぐっても抵抗がない。)
- おしっこが24時間以内に6回以下で、おしっこの色が濃い。
- ウンチの色が白っぽい。
- 発熱がある。(体温38度以上)
一つでも当てはまれば、まずはかかりつけの病院に連絡し医師または助産師に相談しましょう。
光線療法とは?
黄疸が強い場合は光線療法という治療をよく行います。
未発達な肝臓の代わりに光を当てて、体内のビリルビンを体の外に出すのを助けてくれます。
光線療法を行う判断要素の一つとして、血液中のビリルビンの値をチェックします。治療基準は体重や日齢によって異なります。
ご両親向け!光線療法を考慮する総血清ビリルビン(TSB)値の目安
・早期産児で10mg/dl(約170μmol/L前後)以上 ・正期産児で18mg/dl(約310μmol/L前後)以上 ・TSBが1日で5mg/dl/以上の上昇
※あくまでも目安の値です。
医師から血液検査の結果や光線療法の話をされる時に参考にしてください。
光線療法をするかどうかは、他の血液検査項目や身体的所見なども含めて医師が判断します。
シンガポールで出産を迎えるお母さんたちへ
シンガポールは日本よりもビリルビンのチェックが厳しく、光線療法を行う可能性が日本よりも高いと私は感じます。
シンガポールでの出産は、無痛分娩で2泊3日の早期退院が主流です。
赤ちゃんのビリルビンの値が高いと光線療法のために、赤ちゃんだけ入院延長や再入院をする場合もあります。
新生児期の母子の一時的な分離は、母乳育児の確立に支障をきたしたり、両親の育児に対する不安が高まる場合があります。
また、特にシンガポールは、日本に比べて医療費が高いです。
在留日本人がよく利用する私立病院では、簡易的な黄疸チェックだけでS$25(約2000円)くらいします。(病院によって異なります。)
光線療法で再入院となると、さらに高額の医療費がかかります。
新生児黄疸を悪化させない方法
赤ちゃんの身体的負担やお母さんの身体的・精神的・経済的負担を考えると、新生児黄疸が出現した場合に出来るだけ黄疸を悪化させたくないですよね。
最後に、黄疸を悪化させない方法を紹介します。
①脱水を予防する。
脱水がおこると血管内の水分が減り、血液の濃度が高くなります。つまり、脱水の状態で血液検査をするとビリルビンの濃度が上がるので、高い値の結果が出てしまします。
おしっこが24時間以内に6回以下の場合は脱水の可能性があります。
対処方法は、授乳回数を増やすことです。
黄疸が現れると赤ちゃんは傾眠傾向になり普段より寝ることがあります。
普段よりよく寝てても、授乳回数は減らさないようにしましょう。
新生児黄疸が現れると授乳を継続して良いのか不安になると思いますが、医師に指摘されるまで、母乳は止めずに続けることが大切です。
異常がなければ、母乳の哺乳量が増えると黄疸は早く消えます。
母乳育児を続けたいが継続を辛く感じる場合は、粉ミルクを1日に1回でも足しましょう。
②うんちを出す。
黄疸の原因であるビリルビンはうんちに混ざって体の外に排出されます。
なので、ウンチがたくさん出るほどビリルビンも排出されます。
粉ミルクは母乳よりもカロリーが高くうんちが出やすいです。母乳育児のお子さんでウンチの回数が少ない場合は、一時的に粉ミルクを1日1回でも足すと良いです。
※粉ミルクの足し過ぎは、おっぱい離れの原因にもなるのでお気をつけ下さい。
まとめ
新生児黄疸は赤ちゃんによって個人差があります。
脱水や便秘の問題がなくても、それ以上にビリルビンの処理が追いつかず黄疸が続く場合があります。しかし、通常は無害で自然に消えるものです。
まずは、お母さんが焦らずゆったりと過ごし、授乳を安定させることが大切です。
光線療法で入院延長や再入院が必要になったとしても、光線療法はデメリットだけではありません。赤ちゃんの肝臓の働きをお手伝いしてくれる治療です。
また、新生児期は授乳など慣れない育児でお母さんは寝不足になりがちです。お母さんはこの機会に体を休めて回復を促しましょう。お母さんの体の回復は赤ちゃんにとってもメリットが大きいです。
母乳育児の場合は、一時的に母子が離れることがあったとしても、1日8回おっぱいを刺激することで母乳分泌の維持ができます。
搾乳または、赤ちゃんの面会時間に授乳することでおっぱいを刺激しましょう。
いかがでしたでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
終わり♪
もし、産後の育児や健康で悩んでいる方がいらっしゃいましたら、私がいつでもお話を聞きます。
産後の母子健康・育児相談を承ります 誰かに私の声を聞いて欲しい…はい、看護師の私が聞きます。