こんにちは♪
看護探究隊のあやぱんです。
この記事を読みに来てくださりありがとうございます♡
産後ケアのカテゴリーでは、日本で看護師をしていたあやぱんが、シンガポールで産後のお母さんと新生児のケアを行なった経験を元に、「産後の親子の健康」に関する情報を探究してまとめています。
今回探究してまとめた内容は、「乳腺炎の8つの予防」です。
「乳腺炎の原因と症状」については前回のブログ記事をご覧下さい。
「乳腺炎をきっかけに母乳育児を諦めたことがある。」というお母さんに、私は何度かお会いしたことがあります。母乳育児を続けたいと思うお母さん達が、乳腺炎で諦めてしまうなんて残念なことです。
そんなお母さん達が乳腺炎を怖がらず、楽しく母乳育児を続けられるための予防方法を紹介します。
♡乳腺炎の治療について理解できる。
♡もう乳腺炎で悩まなくて済む。
目次
これだけはやってほしい!乳腺炎の5つの予防

まだ体が回復していない産後のお母さん達は、あれやこれやとアドバイスされても、「ただでさえ忙しいのにそこまで出来ないよ!」と思いますよね。
なので、ここでは普段の生活にちょっと工夫をするだけで乳腺炎の予防になる5つの方法を紹介します。
①まずはおっぱいの観察
乳腺炎にならないようにするためには、自分のおっぱいを知ることが1番大切です。
- おっぱいの張り
- おっぱいのしこり
- おっぱいの赤み(発赤)
- おっぱいの熱感
- 授乳時の痛み
- 乳頭の皮膚の状態(水膨れ、白くふやけてるなど)
- 乳頭の傷の有無
これらを授乳するときに確認してみてください。
これらの症状が複数あるほど、程度が重度なほど、乳腺炎になっている可能性が高いです。自分のおっぱいの状態を知らないと、乳腺炎になっているかどうかもわかりません。
体の調子がおかしいと発熱してからでは手遅れです。
例えば、「焼肉は食べても大丈夫だったけど、天ぷらを食べたらおっぱいがいつもより張りが強く痛くなったなぁ。」「牛乳を朝一杯飲むのは大丈夫だったけど、1日3回飲むとおっぱいが張ってしこりができた。」などです。
おっぱいの張りは個人差があるので、食べちゃいけないのではなく「自分がどのくらい食べたらおっぱいが詰まりやすくなるのか」を知ることが大切です。
脂肪分の多い食べ物に加えて「赤飯」や「お餅」などでおっぱいが詰まった経験があると、私はお母さん達からしばしば聞きます。餅米系を食べる時もおっぱいの変化に注意してみて下さい。
②体を休めながらも授乳を続ける
①のおっぱいの観察で取り上げた症状がある場合は、お母さんは体を休めながら授乳を続けることが大切です。
乳腺炎にならないようにするためには頻回授乳が重要とよく言われますが、頻回授乳よりも赤ちゃんが効率よく母乳を飲めるように赤ちゃんをサポートすることの方が乳腺炎を予防できます。
その理由は、乳腺炎はおっぱいに溜まった母乳を外に出してあげる必要があるからです。うっ滞性乳腺炎は母乳がおっぱいに溜まることで起こります。お母さんが頑張って頻回授乳しても、赤ちゃんが上手くおっぱいに吸着できなければ、赤ちゃんは効率よく母乳を飲めません。(=母乳は外に出ません。)
自分のおっぱいの観察の次は、赤ちゃんが効率よく母乳を飲めているかを確認しましょう。
赤ちゃんが効率良く母乳を飲めているサイン
- 乳頭だけでなく乳輪まで大きくガブっとくわえている。
- 赤ちゃんの舌が下の歯茎より前に出ており、乳頭の真下に舌がある。
この2つのサインがない場合は、授乳姿勢や抱き方が問題ないか確認し、おっぱいに吸着するところからやり直しましょう。そして、頻回である必要はないですが授乳を継続しましょう。
あとは、乳腺炎を予防するにはお母さんの免疫力を高める必要があります。
だから出来るだけ体を休めながら授乳をしてほしいのです。
ストレスや疲労を少しでも取り除けるように休む時間を作りましょう。
③おっぱいを圧迫するブラジャーや洋服は避ける
おっぱい周り(特に腋窩周囲)の血管とリンパの流れが良くないと、母乳の流れも悪くなります。つまり、母乳がおっぱいに溜まってしまいます。(=うっ滞性乳腺炎)
その理由は、母乳の元はお母さんの血液だからです。
全身からの血液がおっぱい(乳房)の毛細血管に集まり、乳腺の小葉で母乳が作られます。(おっぱいのしくみについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。)
したがって、おっぱい周りを締めつけるきついブラジャーや洋服は避けましょう。
④適度に水分補給
母乳の約90%は水分です。
したがって、水分補給をした方が血液の流れや母乳の流れが良くなります。
ホースの中に水をたくさん流した方が水の流れに勢いが出ますよね。それと同じです。
しかし、水分の摂りすぎも体に良くありません。
授乳をしているお母さんは1日に2ℓを目安に水分補給をしましょう。
オススメは、授乳後にコップ一杯の水を飲むことです。
一気飲みよりこまめに水分補給が良いです。
⑤マミーパットを使用する際は汚れたらその都度交換
混合でも完母でも母乳育児をしているお母さんは、自然に母乳が出てきてしまうことがあります。そんなときに衣類が母乳で汚れないようにするのがマミーパットです。
しかし、マミーパットは母乳でベダベタの状態で使い続けると、化膿性乳腺炎になる可能性が高いです。
乳腺炎の一つである化膿性乳腺炎とは、何らかの理由で乳頭が傷つき、そこから細菌が侵入し乳管を通って乳腺組織にまで広がってしまうものです。(化膿性乳腺炎について詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。)
マミーパットは母乳で汚れた状態で長時間使用すると、乳頭の皮膚をふやかし摩擦で傷を作りやすくします。そして、その傷から汚れたマミーパットに付着している細菌が入り込んでしまうのです。
母乳でベダベタに汚れたマミーパットは、乳頭に傷を作り細菌を入りやすくするので、汚れたらその都度交換しましょう。
以下の症状が既にある場合は、こまめにマミーパットを交換してください。
- 乳頭が皮膚がふやけてる。
- 乳頭が赤くヒリヒリする。
- 乳頭の部分が白っぽく水膨れがある。
- 乳頭が切れている。
ここまでやると更に良い♡乳腺炎の3つの予防

ここで紹介する乳腺炎の予防法は少し難易度が上がります。
自分の授乳に自信がついてきたらやってみましょう。
焦る必要は無いです。
①母乳の除去
もし授乳だけで母乳が十分に排出されず、乳腺炎症状が改善しない場合は、授乳前に古いおっぱいを捨てると良いです。
詰まりが少し改善されると赤ちゃんも母乳を飲みやすくなります。
しかし、搾乳のやりすぎは赤ちゃんの飲みたい量以上に母乳が作られてしまうので、それも乳腺炎を起こす原因になります。
不快感が和らぐ程度に搾乳しましょう。(片胸20〜30秒がベスト)
手または搾乳器を使用しても良いです。
自分のやりやすい方法で行いましょう。
手で行う場合は、シャワーを浴びながら行うと良いです。
理由は、体が温まることで血液循環が良くなり母乳が出やすくなるからです。
産後1ヶ月を過ぎたらお母さんは入浴できます。
したがって、産後1ヶ月を過ぎたら入浴後に搾乳すると最初から母乳が良く出て短い搾乳時間で母乳除去ができます。
②しこりの上からマッサージ
おっぱいの張りが強く、しこりを感じる時はしこりの上からマッサージをしながら授乳すると良いです。
ただし、これをやるには
- 正しい授乳姿勢
- 正しい抱き方
- 赤ちゃんが効率良く母乳を飲めているサイン
ができていないと難しいです。
両手で赤ちゃんを支えたり、赤ちゃんとおっぱいを手で支えないと授乳が上手くできない場合は、まず正しい授乳姿勢や抱き方をマスターしましょう。
③乳頭保護クリーム
乳頭に傷がある場合は、マミーパットで保護する以外に乳頭保護クリームを使用すると良いです。
傷の悪化を防ぐには清潔の維持と保湿が大切です。
なので、まずはマミーパットをこまめに交換して清潔を保ちましょう。
そして、それに加えて乳頭保護クリームを授乳後に傷のある乳頭や乳輪に塗布すると良いです。
乳腺炎の予防のまとめ

最後に乳腺炎の予防についておさらいします。
[予防の基礎編]
①まずはおっぱいの観察をしましょう。
- おっぱいの張り
- おっぱいのしこり
- おっぱいの発赤
- おっぱいの熱感
- 授乳の痛み
- 乳頭の皮膚の状態
- 乳頭の傷の有無
②体を休めながらも授乳を続けましょう。
頻回授乳よりも赤ちゃんが効率よく母乳を飲めていることの方が乳腺炎の予防に繋がります。
赤ちゃんが効率良く母乳を飲めているサイン
- 乳頭だけでなく乳輪まで大きくガブっとくわえている。
- 赤ちゃんの舌が下の歯茎より前に出ており、乳頭の真下に舌がある。
③おっぱいを圧迫するきついブラジャーや洋服は避けましょう。
④1日に2ℓを目安に水分補給をしましょう。
⑤マミーパットを使用する際は汚れたらその都度交換しましょう。
[+αな予防方法]
①授乳でおっぱいの張りやしこりが改善しない時は、授乳前に自分で古い母乳を取り除きましょう。
②しこりがある場合、しこりの上からマッサージを行いながら授乳をすると良いです。
③乳頭や乳輪に傷がある場合は、乳頭保護クリームを塗りましょう。
いかがでしたでしょうか?
今回は自分でできる乳腺炎の8つの予防についてでしたが、初産婦さんは退院直後から母乳外来に通うことをオススメします。
特に初産婦さんは乳頭トラブルや乳腺炎を起こしやすいです。
でも、そんな初産婦さんでも助産師さんから自分に合った授乳方法を教えてもらったり、母乳マッサージをしてもらうことにより、母乳育児が軌道に乗りやすくなります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

終わり♪
※私はいつも産後のお母さんやお父さんをサポートする人たちの一人です。もし、産後の育児や健康で悩んでいる方がいらっしゃいましたら、私がいつでもお話を聞きます。