こんにちは♪
看護探究隊のあやぱんです。
この記事を読みに来てくださりありがとうございます♡
産後ケアのカテゴリーでは、日本で看護師をしていたあやぱんが、シンガポールで産後のお母さんと新生児のケアを行なった経験を元に、「産後の親子の健康」に関する情報を探究してまとめています。
今回探求してまとめた内容は、「産後の生理」についてです。
♡産後起こりうる病気がわかる。
♡今後の家族計画に役立つ!産後の避妊方法がわかる。
目次
経験者の生理再開っていつ?
妊娠をすると生理が来なくなり、生理がこないことを楽と感じる女性は多いと思います。しかし、出産を終え、「生理っていつ再開するのかな。」と疑問や不安を感じる女性も多いはずです。今回はそのお悩みを少しでも解決できるように、探求してまとめていきます。
まず最初に、産後の生理はいつ再開するのが一般的なのか?データを見てみましょう。
こちらのデータは、moonyさん調べです。
生後3ヶ月までに再開 32% 生後6ヶ月までに再開 19% まだ来ていない 19% 生後9ヶ月までに再開 9% 生後1年までに再開 8% 生後1年3ヶ月までに再開 5% 生後1年6ヶ月までに再開 4% 生後1年9ヶ月までに再開 1% 生後2年までに再開 1% その他 2%
※ユニ・チャーム調べ:2019年4月10日~2019年5月8日に実施したアンケートより(708名のママが回答)
https://jp.moony.com/ja/tips/taikendan/taiken107-02.html
なるほど。
2っの統計を見ると、産後3ヶ月までに再開する女性と産後6ヶ月までに再開する女性が多いようですね。でも、コメントを読んでみると生理の再開は人それぞれ異なっているように感じます。
※moonyさんの調査データの下には、経験者の体験談がたくさん掲載されているので、ぜひこちらから読んで見て下さい。共感できる記事があるかと思います。
産後すぐに生理が来ない理由
では、どうして産後すぐに生理が再開しないのか?
なぜ、こんなにも産後の生理再開に個人差があるのか?
疑問が絶えませんね。笑
ここでは、妊娠〜産後までのお母さんの体の変化から、その理由をまとめていきます。
※一般的な女性の体のしくみや生理のしくみについては、「女性の体のしくみ」の記事をご覧下さい。
妊娠中の女性のカラダ
まず、妊娠が成立した女性の体は、妊娠が成立していない女性と異なり、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2つの女性ホルモンの分泌が続きます。
卵胞ホルモン(エストロゲン)は赤ちゃんのお部屋である子宮を更に居心地良い環境にさせます。(子宮筋肥大・子宮血流量増加による妊娠維持作用)
そして、妊娠末期には赤ちゃんが外に出てきやすいように、子宮頚管を徐々に柔らかくし分娩に備える作用があります。
黄体ホルモン(エストロゲン)は卵胞ホルモン(エストロゲン)と似た作用ですが、妊娠中の排卵抑制作用があります。
妊娠が進み胎盤が完成すると、その胎盤から更に卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が作られるようになります。そして、大量の卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)は、 下垂体前葉から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)に「もう分泌しなくていいよ。」と指令を出し(脳へのフィードバック)、分泌を抑制することで更に排卵が抑制されます。
以上のことから、妊娠をすると女性ホルモンによって排卵が抑制され、生理が起こらなくなるのです。
※女性ホルモンの働きについて詳しく知りたい方は「女性の体のしくみ」の記事をご覧下さい。
産後の女性のカラダ
赤ちゃんがお腹の中ですくすく育ち、やがてお父さんやお母さんに会う日がやってきます。
赤ちゃんが産まれると、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が急激に低下します。しかし、この2つの女性ホルモンが低下するからといって生理がすぐに再開するわけではありません。
ここからは、母乳育児と粉ミルク育児で分けてまとめます。
母乳育児のお母さんは、特に母乳作りを促進する「プロラクチン」という女性ホルモンが増えます。プロラクチンは排卵を抑える働きがあるので、卵胞ホルモン(エストロゲン)や黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が低下しても、生理が再開しにくいのです。
※母乳やプロラクチンについて、もっと詳しく知りたい方は「おっぱいのしくみ」の記事をご覧下さい。
その理由は、体の回復状況や授乳回数・授乳間隔によっても女性ホルモンの分泌が変わるからです。個人差はありますが、授乳間隔が6時間以上空くと排卵が起こる可能性が高くなると言われています。あくまでも目安として考え、注意して下さい。
粉ミルクを使用しているお母さんは、赤ちゃんがおっぱいを吸う頻度が少ない分、プロラクチンも分泌されません。これにより排卵抑制されないため、体が回復すればするほど、妊娠前の女性ホルモンの周期へ戻ります。
だから、完全粉ミルクや混合栄養の育児をされているお母さんの方が比較的生理の再開が早いのです。
女性ホルモン以外の4っの理由
授乳していて排卵のない人もいれば、排卵のある人もいます。
反対に、授乳していないのに排卵がない人もいれば、排卵がある人もいます。つまり、産後の生理再開は女性ホルモン以外にも要因があるということです。
ここでは、女性ホルモン以外の理由をまとめていきます。
1,栄養バランスの悪化
産後の女性の体は、母乳を作ったり、妊娠前の体に戻そうと大忙しです。
そのため、たくさん栄養を補給する必要があります。
栄養バランスが悪くなると体の回復が進まないため、生理の再開が遅れたり生理不順を起こしやすくなります。
母乳と体の回復に良い産後の食事についてはこちらの記事をご覧下さい。
2,睡眠不足
体の様々な機能は自律神経やホルモンによって上手くコントロールされています。この機能が上手く働くには睡眠が不可欠です。
女性の体は睡眠中に副交感神経の働きよって食べ物が消化吸収され、それがエネルギーとなり女性の臓器が回復されます。また、睡眠中に女性ホルモンも働き母乳が作られます。
女性の体が元に戻るには産後6〜8週間ほどかかると言われています。なので、少なくとも産後2〜4週間はしっかり休養を取り、産後5〜8週の間は体を動かしつつも、体を休む時間を確保しましょう。
3,環境の変化
産後の生活環境は出産前と大きく変わります。
例えば、里帰り出産、里帰り出産後のサポート者のいない育児環境、産後早期の職場復帰などです。
生活環境の変化はプラスに働けば良いですが、マイナスに働くこともしばしばあります。環境の変化のストレスはホルモンバランスに大きく影響します。
まずはお母さんと赤ちゃんの心と体の健康を第一に考えて、環境を整えましょう。
4,妊娠
出産直後でも100%無排卵である保証はありません。
排卵が再開した状態でセックスをすれば、妊娠する可能性はあります。
夫婦で家族計画について話し合い、産後早期の妊娠を希望しない場合は必ず避妊をしましょう。
生理再開が遅れる代表的な病気
産後の生理の再開には様々な要因が関与し個人差がでる。というのは理解できました。でも、生理がずーっと再開しないと、「病気なのかな?」と心配になりますよね。
結論から言うと、下記の場合は一度産婦人科に受診しましょう。
- 産後1年経っても生理が再開しない
- 産後1年経っても生理不順
- 出血量が多い
- 生理期間だらだら長い(1週間以上)
病気の有無に関わらず、生理周期を整えることは今後の人生においても大切なことです。
母乳育児を続けているお母さんも、「母乳育児のせいだから私は生理再開しいてなくても大丈夫!」と思い込み過ぎず、健康診断のような感覚で産後1年を期に受診をオススメします。
受診が困難の場合は、かかりつけ医師や助産師さんに電話相談してみるのもいいと思います。※電話相談の可否は事前にお調べください。
また、生理再開が遅いのには、以下の病気を発症している可能性もあります。
子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮の筋肉に良性の腫瘍ができる病気です。
子宮には平滑筋という筋肉があります。
その平滑筋の細胞からなる良性の腫瘍を子宮筋腫といいます。
子宮の粘膜下や子宮の筋肉の中、子宮の漿膜下にできます。
代表的な症状は、貧血症状や腰痛、月経痛、頻尿などです。
※子宮について詳しく知りたい方は「女性の体のしくみ」の記事をご覧下さい。
甲状腺の病気
妊娠・出産をきっかけに甲状腺の病気に罹る人もいます。
原因の大半は遺伝だそうです。
甲状腺ホルモンが血中に大量に放出されることにより起こる「甲状腺機能亢進症」と、甲状腺細胞が破壊され血中の甲状腺ホルモンが不足する「甲状腺機能低下症」の2種類があります。
甲状腺の機能が亢進(こうしん)すると、
- 甲状腺が腫れる
- 疲労感を感じ易い
- 汗をかき易い
- 食べても痩せる
などの症状が現れます。
甲状腺の機能が低下すると、
- 新陳代謝の低下
- 貧血
- むくみ
- 便秘
- 食欲不振
などの症状が現れます。
その他
抗うつ薬など持病の薬が影響している可能性があります。
産後の生理再開のまとめ
・統計データから見ると、産後3ヶ月までに生理が再開する女性と、産後6ヶ月までに生理が再開する女性が多い。
・妊娠中は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が高まることにより、排卵抑制され生理が起こらない。
・産後は、赤ちゃんがおっぱいを吸うことでプロラクチンが分泌され、排卵抑制が進み生理再開が遅れる。
・産後の生理再開に個人差があるのは、
- 育児スタイルや授乳回数、授乳間隔の違い
- 食事の栄養バランス
- 睡眠
- 環境の変化によるストレス
- 妊娠
などが影響するから。
・母乳育児に関係なく、出産から1年経過しても生理が再開しない場合は、産婦人科に受診または電話相談をすると良い。
いかがでしたでしょうか?
最後まで読んでいただきありがとうございました。
終わり♪
※私はいつも産後のお母さんやお父さんをサポートする人たちの一人です。もし、産後の育児や健康で悩んでいる方がいらっしゃいましたら、私がいつでもお話を聞きます。